e-no

  • 沖縄の温かいコールセンター
  • 先代から受け継いだ想い
  • お客様との「絆」
  • 新サービス立ち上げ日記
  • e-no小誌 いなぐ・いきー
  • ショッピング
e-no

enjoy your health

Menu
沖縄の温かいコールセンター 先代から受け継いだ想い お客様との「絆」 e-no小誌 いなぐ・いきー ショッピング
古酒の魅力 〜首里の老舗・瑞泉酒造 佐久本社長に伺いました!〜
2020.09.17

首里の老舗・瑞泉酒造 × e-no のコラボ新商品

2020年8月

10年、15年、21年と熟成年数を重ねた3種の『古酒おもろ』を1合瓶サイズで新発売いたしました。発売に先駆け、古酒の魅力と瑞泉酒造さんの歴史について佐久本学社長に伺いました。

 

瑞泉酒造株式会社 6代目 代表取締役社長 佐久本学 氏

【プロフィール】


1969年5月20日生まれ。実家である那覇市首里崎山町の瑞泉酒造で生まれ育つ。2001年に瑞泉酒造株式会社に入社。「沖縄ブーム」が到来し、泡盛の全国展開、販路拡大に力を入れる。2005年からは海外への営業活動も始めるなど「琉球泡盛」の普及活動に努めている。2013年、代表取締役社長就任。2018年、沖縄県酒造組合会長就任。

 

 

広がる香り、変化する香り。余韻を楽しむ

 

e-no:全国のお客様から「沖縄の地元の人に愛されているものがほしい」というご要望が多く寄せられるようになり、2020年4月から『沖縄まるごと通販』をスタートしました。牧志公設市場のサーターアンダギーや、マルタマさんのタンナファクルーなど、沖縄で昔から愛されてきた「食」もお届けできるようになり、今回は『古酒おもろ』を。お酒好きなお客様も多いのでとても嬉しいです。

コロナ禍で「家飲み」が増えてきていることもあって、お客様へ新しい飲み方の提案を泡盛の歴史と一緒にお届けしたいと思っています。

 

佐久本 学 社長:

1合瓶はちょうどいいサイズですね。

やはり1種だけ飲むよりは、飲み比べをすることによって年数を重ねているものの良さがわかりますよ。瑞泉酒造(本社)でも、観光で立ち寄られる方、見学に足を運んでくださるお客様には年数と度数で飲み比べをしてもらい、古酒の違いを知っていただけるようにしています。

まず、3年古酒30度、次に3年40度。そして10年の30度、10年の40度…と比べていくと、やはり古いもの(古酒)はいいというのは感じられていますね。

初めは「基準」がわからないですから、比べてみることで、違いやそれぞれの良さがわかるのだと思います。

 

e-no:飲み比べる時は、何を意識して飲むといいでしょう?

 

佐久本社長:

古酒だからこその「熟成香」(※)があるので、ほんとうに少し、舐めるようにして飲んでいただくのが一番いいですね。口に入れる量が多すぎると、アルコールの強さだけが目立ってきます。だから本当に、ちびりちびり舐める程度で。一般酒(熟成年数を経てない泡盛)は、どちらかというと舌に刺さるような感じがありますが、古酒となると香りが口に広がってくる。飲む前の香りと、飲んだあとに鼻からぬける香りが、私はいちばん好きです。飲んだら口にふわ~っときますよ。吸う香りと、口に入れたあとに息をはく時の香りとでまた違う。古酒は時間がたつと空気に触れて香りが変化していきますから。いいものは、やはり「余韻」が違います。

 

※「熟成香」:「泡盛そのものが持つ成分が年月とともに熟成を重ねることで化学変化し、古酒に育っていくことで醸し出される香り。古酒になると甘い香りがするようになりますが、その代表的な例が、バニラの香り。黒糖やキャラメルを思わせるような香り、りんごや洋梨のようなフルーティーな香り、バラのような香り、オレンジやシトラスのような柑橘系の香り、中にはチョコレートのような香り、コーヒーのような香りなどもあります。古酒によってその香りは実に複雑で多岐にわたり、それぞれに特徴があるものです」(参考:「もっと泡盛を知る、愉しむポータルサイト」/沖縄県酒造組合)

 

想いも一緒に熟成させていくことが魅力

 

e-no:「おもろ」のネーミングにはどんな思いが込められていますか?

 

佐久本社長:

関西弁では「おもしろい」という意味だと思いますが、沖縄で「おもろ」という言葉は「想う」を意味します。

古酒をつくるには年月がかかります。年数を寝かせた分、時間を想いながら飲んでいただこう、と。

漢字で書くと「思う」がふつうですけど、「相」に「心」の方が、イメージ的に合うかなと思います。その「想う」は人を想ったり… 頭でおもうのと、心でおもうのとは違いますから。ちょっと難しいですけど・・

例えば、沖縄では「誕生酒」がありますよね。

子どもが生まれたときに甕に名前を彫って、20年後、親は生まれた子が大人になった時に飲もうと想って、ずっとそのお酒をつくるんですよ。

 

子どもの立場では小学校、中学校のときに見ても特別興味はないと思いますけど、成人したり、親の立場になってみると「20年前に自分のことを想ってこの甕ををつくってくれたんだ…」という、20年後一緒に飲みたいという親の想いを感じるようになります。

泡盛の一般酒は1,000円ほどですが、20年古酒になると13,000円以上します。20年かけて10倍以上の価値になる。実際の親子にしてみたら、お金に換えられない価値になっている。そこが一番の魅力だと思うんです。熟成され重ねた「時間」「年月」は古酒の味としても出ていますが、想いも一緒に熟成させていくことが魅力だと思います。飲むお酒として以上に、想いを感じられるお酒としての魅力を伝えていきたいと思っています。

 

”泡盛は寝かせる古酒がいいだろう” 先代の想い

 

 

佐久本社長:

首里の城下町であった、崎山町、赤田町、鳥堀町を琉球王朝時代には「首里3箇」と呼ばれ、この三箇所でしか泡盛づくりは許可されていませんでした。この辺りは、きれいな湧き水があったからだと思います。

瑞泉の初代・喜屋武幸永は、琉球王朝の焼酎職であった造り酒屋に生まれた三男で、独立してこの場所で創業したんです。創業当時から、今でも同じ場所で続けているのは、瑞泉と識名酒造さんだけです。

3代目、祖父の佐久本政敦が、「泡盛は寝かせる古酒がいいだろう」と考え大きな貯蔵庫を持つようになりました。40年前ですね。それで、古酒に力を入れるようになりました。

 

e-no:「古酒がいいだろう」ということには、何かきっかけが?

 

佐久本社長:

戦前は、仕次ぎ(※)をしながら100年、200年古酒もありましたが、戦火で全て失いました。1945年の終戦から1950年代は戦後復興のために泡盛づくりを始めている酒造が多いです。当時はつくるのに一生懸命、貯蔵することができない状況で、古酒はなかった。ただ、当時「泡盛はくさい」という声も多かったんだろうと思います。古酒の味、美味しさを知っていた祖父は、これからの時代には「もっと美味しいものを」という想いで、古酒づくりに力を入れていくことにしました。

※「仕次ぎ」:

古酒の熟成法。年代の違う複数の泡盛を用意し、一番年数の古いお酒を「親酒」とする。寝かせている(熟成)間に減った分量のお酒を、次に古い酒(二番手)から補い足していく。二番手は三番手から… と新しい酒から古い酒への順に移動させ熟成させていく。

 

★3代目・佐久本政敦氏は、1987年発行の『戦後おきなわ物価風俗史』にてこのように綴られています:

“ 泡盛は五百年の伝統を誇る地場産業で沖縄の経済振興に果たして来た役割は大きいと思います。今日のように世界の銘酒がはんらんしているなかで、地場産業だから飲めでは通用しません。消費者も選ぶ権利がありますから、消費者のニーズにこたえるいいものを作らなければならないと業界も日夜努力しています。

復帰後、国税事務所、県、酒造協同組合が一緒になって品評会が開かれるようになり、品質も年々向上、飲みやすい泡盛が造られるようになりました。若者や女性にも愛好者が増えていることはうれしいですね。沖縄の「酒文化」を築いていくんだという誇りを持って若人世代に受け継いでもらいたいですね ”

(『戦後おきなわ物価風俗史』P.34  琉球新報社会部(編)沖縄出版 1987年6月10日発行)

 

佐久本社長:

復帰後に国税事務所が品質向上のために鑑評会をやるようになり、質を高めていく時代に入っていきました。古酒部門で、県知事賞や国税庁の賞をつくるようになったのも、質を高めていくためでした。戦後はつくるのに一生懸命、復帰後は質をよくするように一生懸命でした。瑞泉も品質向上で賞をとれるようになってきました。

今は、質がいいのは当り前の時代。どうPRするかが課題だと考えています。

 

昔は泡盛を飲むと言ったら「ロック」か「水割り」、ジュースで割ると「邪道」と言われていましたが、今はハイボールや好きなもので割ってカクテルにしたり、思い思いに飲んでください、というスタンスです。入口を広げていくと、段々とロックやストレートも飲むようになると思います。

 

学生さんとも話す機会がありますが、泡盛はやはり「キツイ」と言われることが多いです。コーヒーの飲み方と似ている部分があると思っていて、子どものうちに苦みや渋みの強いブラックコーヒーは飲めないじゃないですか。コーヒー牛乳とか、ミルク、砂糖を入れたり、少しずつ味がわかってだんだん飲み慣れてくるとブラックコーヒーも飲むようになる、というような。泡盛も、20歳になったからと言っても、すぐには飲み慣れないんですよね。

 

e-no:本当の古酒の味を知るには、少しずつ。年数も必要ですね。一番貴重な『古酒おもろ21年』は、どれくらいの量を貯蔵されているんですか?

 

佐久本社長:

700ml瓶で200~300本分ほどです。計画的にしていかないと、売れるからといってどんどん出荷していくと、次のものがなくなってしまいます。

甕によって味が違ってくるので、それぞれの甕で熟成されたものをいったんまとめて味を均一化させるためにもう一度タンクに入れる。そうじゃないと味のバラつきが出てきてしまう。「いい味になる甕」と「ふつうの甕」というのは、作り続けてだんだんわかってきています。

 

e-no:忙しい日々に沖縄のゆったりとした時間、うちな~タイムを味わっていただける、熟成されたまろやかな古酒の魅力をぜひお客様に味わっていただきたいです。古酒を通じて時空を超えてつながっていく想い、私たちも沖縄の泡盛の魅力を全国へ発進していきます!

 

首里城のお膝元  瑞泉おもろ(古酒泡盛)

古酒(くーす)とは3年以上熟成させた泡盛のこと。同じ原酒でも、熟成させるほどに酒質が向上する泡盛。10年、20年と歳月を経るごとに甘く芳醇に香りたち、舌触りもまろやかさを増します。ぜひその変化をお楽しみください。

★瑞泉×e-no 「古酒おもろ」のオンラインショッピングは、コチラから。

 

 

この記事を書いた人

e-no お客様担当

蜂谷菜保子(はちやなおこ)

1986年生まれ・北海道出身

mail: naoko@e-no.com

沖縄ならではの食べ物、言葉、「これってどういう意味?」と気になることはぜひ蜂谷へお寄せくださいませ。道産子視点で独自に調査!?しお返事いたします!

 

<その他の記事>

●次の日残らない「ウコン泡盛が美味しい」

●漬け酒歴30年 沖縄家庭料理のゆうなんぎい・辻野さんに伺いました

●自分好みのコーレーグースをつくってみよう!

 

プライバシーポリシー

© 2022 e-no, Inc. All Rights Reserved.