こちらのブログでは、一般的に「沖縄っていいよねー!」とつい思いがちな沖縄のイメージの中でも、違和感に感じたことや気になったことなどを取り上げることで、逆に、沖縄のことを再発見するためのブログです。あくまでも私、中地香苗の主観に基づくもので、私自身が、ありのままに沖縄のことをもっと広く、深く知り、より好きになるためのものです。ぜひ、ご意見、ご感想もお待ちしています。
沖縄土産で一番人気は「ちんすこう」。しかし、一番もらって嬉しくない土産も「ちんすこう」らしいと聞いて、実際に検索してみると、ありました。それも、’ガッカリしたご当地名菓’で、堂々の第1位と、なんと不名誉なものに選ばれていました。
”沖縄の食文化’’も独特ですが、名菓もやっぱり独特ですね。
ぱさぱさした食感は食べにくく、苦手な方は多いようですね。
食べているとぼろぼろ落ちるので、子供が食べると部屋がちんすこうまみれになるので食べさせたくない名菓です。”
(https://yukawanet.com/archives/5183045.html)
言われてみれば、一般的に土産品店に並んでいるものは日持ちもするため、パサパサしてるものもあるし、味もそっけない気もするし、何より私たち沖縄の人が日常的に食べるかといえば、食べないし、それ以上に沖縄の家庭には、常にちんすこうがあるお家はほとんど見たことも、聞いたこともない気がします。
また、サーターアンダギーという沖縄の揚げ菓子は、どの家庭でも来客があると、おばぁーが「今からサーターアンダギー揚げるから、ちょっと待っておいてねー」と、すぐに作り始め、数十分では揚げたてが出てくる。それも、すごいのは、必ずと言っていいほど、ザルのいっぱいに作る!それも山盛りに。。。沖縄のサーターアンダギーが家庭によって味も形も大きさも異なり、各家庭の特徴がでてそれがまた良いのですが、それに比べて、ちんすこうを頻繁に家で作って、食べているというのは聞いたことがない!
で、調べてみました。なんと、ちんすこうは、琉球王朝時代、その城下町首里で王家や貴族のあいだで作られた献上菓子だったんです。だから、庶民的ではない、大切なお菓子ゆえ、日々の生活で作る文化がなかったと言われれば、納得。ちなみに、今、販売されているものは、塩入りもあれば、イモ味になっているものから、チョコレートでコーティングされたものまで、味も形もさまざま。
さて、歴史あるはずの「ちんすこう」。実は、あるんです。今でもその昔ながらのこだわりで作っている「ちんすこう」があるんです。
「ちんすこうっておいしくないねって言われることが多いんです。」と本家 新垣菓子店の店主 新垣淑武さんからも伺ったことがあり、ちんすこうというだけで一括りにされてしまう現実。「ここのちんすこうを食べて、美味しいってはじめて知りました」と言われると、召し上がっていただくことで、食べ終わった後には、一人一人のちんすこうイメージが180度変わっていく。季節が変わっても代々続く味は変えない信念が本家のちんすこうには詰まっていました。
それは、那覇市首里赤平町で、本家 新垣菓子店として、1910年創業の現在7代続く沖縄では数少ない老舗。金色の箱に、ぎっしり詰められているちんすこう、こちらのちんすこうのパッケージには「金楚糕」(ちんすこう)と書かれています。
で、ここの金楚糕の黄色い紙の説明書の真ん中には、王家から使用を認められたひだりごもんまで描かれています。

ちんすこうの味そのものだけではなく、細長くほっそりと食べやすい形、パッケージには「琉球王家御用菓子」と書かれていて、いただく前に醸し出す雰囲気は、自然と歴史を感じながら、一口ずつ味わって食べたくなるほどです。

そして、説明書には、
「弊店ガ献上品トシテ謹製サレタ御菓子ニシテ滋養豊富、風味佳良ナ独特ノ製品ナリ」
お菓子としてのちんすこうが滋養豊富?どういうことか調べてみると、
ちんすこうの材料と言えば、小麦粉、砂糖、ラード(豚油)のみ。
いまでこそ砂糖は体に良いイメージは少ないかもしれませんが、昔はとても貴重で限られた人たちしかお菓子など口にできなかったそうで、確かに甘味も貴重な栄養です。また、もう一つの栄養として、大事な「ラード」。ですが、身近なお菓子では、ほとんどラードが使われたものはあまり見かけません。逆に同じ焼き菓子でも、バターを使ったクッキーなどは今ではどこでもあり、家庭でもよく作ったり、販売されていたり・・・。実は、あまり日常では馴染みのないラードは、ビタミンA・E・Kや酸化防止の効果もあるとか、、、昔は、添加物など余計なものが入っていないシンプルな材料から大切な栄養もとっていたんだと、クッキーのような焼き菓子のイメージからすると驚きでした。
また、クッキーはバター菓子で、バターの匂いの好みも分かれるけれど、ちんすこうの焼き上がった香りはラードを使っているからか、格別なんです。ちょうど焼き上がった頃にお店の前を通ると、つい匂いに誘われて入ってしまいたくなるくらい、懐かしいような甘さに、なんだかまろやかないい匂いがお店の外まで香ってくるのです。
香りだけではなく、食感も一口食べると虜になるくらいサクッほろっと上品で、独特の風味と食感をもつ貴重な金楚糕は、疲れた時に食べるだけでほっと癒されます。金楚糕は、「黄金色に輝き(金)、ほどけるような口当たりの(楚)焼菓子(糕)」。これまた納得です。
100年以上続く伝統の味を守り抜くには、日々変わる湿度によって材料の混ぜ加減も変わってくるようですが、もちろんそこは企業秘密。それ以上に、守り抜くために貫いているたった一つのシンプルな想いが、その日に作られる琉球菓子ちんすこう1本1本に込められている気がしました。
それは、7代目店主の新垣淑武さんに一番のこだわりを伺ったときのことでした。こだわりと言えば、何か作り方の加減かと思いきや、「琉球王家の方たちが召し上がっていたちんすこうそのものの味をそのまま伝えるだけです。」
代々続く目には見えない100年以上の想いを手に込めて出来上がるちんすこう。
「お客様からの’美味しい’を聞くのがなにより嬉しい」と真剣な中にも一瞬笑顔が溢れた時に店主の真心が伝わります。
シンプルだからこそ、1本1本の食感、風味、味を守り抜くためには手作りにこだわり、目には見えない日々の工夫が詰まっている本家 新垣菓子店の金楚糕。パサパサとは無縁のサクっほろっ、しっとりの金楚糕、沖縄土産として是非一度は召し上がっていただきたい。

沖縄県出身 入社14年目
中地香苗(なかちかなえ)
1983年生まれ、沖縄県沖縄市出身。沖縄で生活していたにも関わらず、e-noに入社して、改めて知る沖縄の色・香り・場所や人の魅力を再発見中!「私、何も知らなかった…。」と思いながらも、知ると誰かに言いたくなる、そんなことを「ディスるカバリー」blogで紹介していきます。
来沖時または沖縄に行きたい気分の時にぜひメールお待ちしております♪
▶︎kanae@e-no.com
メールをいただいた方には、サクっほろっ、しっとりの本家の新垣菓子店の金楚糕と、一口食べると沖縄気分が口の中でフワッと広がる、沖縄素材がたっぷりつまった羊羹「れきをーかん」を1つずつの琉菓子(るがし)お試しセットをプレゼント中♪
「今すぐ沖縄いきたい!!けど…、」とおしゃる方に、ご自宅で沖縄気分だけでも味わっていただけると幸いです。

琉菓子(るがし)