「素直」の奥にあるもの   

e-no株式会社 代表取締役の川畑信介です。創業者の父、川畑保夫(1948~2022)の残した言葉を今、学び直しています。これからのe-noが大切にしていく考え方を確かめていきたいと思っています。

 


 

   朝令暮改とは朝に出た方針が夕方には変わっていて、方向が定まらないということですが、父のやり方は朝令暮改ならぬ、朝令朝改でした。朝礼で方針を述べた直後でも、職員の話やお客様からの意見を聞いて良いと思ったら、さっきまでの話を捨て、すぐに変更し、そして実行してみる。このような「朝改」は何度もありました。

 

私は横でそのような父を否定的に見ていました。自分の考え、やり方を捨ててまで、他人から言われたことをそのまま実践する父を、経営スタイルがない、自信や経営ポリシーがないからだろう、と。

今になって「朝改」の意味に気づかされます。その時の父は、さっきまでの考えは間違っていた、気づいていなかったと、素直に自分を鑑みることができたのでしょう。現場の話を聞いて、職員の意見が正しいと考えるとその場で受け入れ、あらためて皆に話す素直さがあったのだと思います。

 

言われたままアクションする、真似をすることができる。そこには誰もが認める素直な父がいました。父の視点に立って見た時、私のやり方はただ失敗を怖れていただけでした。学んだことを精査することばかり、あるいは作戦を練ることばかりに時間を費やしていました。そうではなく、逆にどんどんトライして失敗の経験を積んだ方が、近道であると今では理解できます。

率直に自分の状況を伝えることによって、むしろ早いスタートを切れる。「素直」こそが成長の近道、なのでしょう。簡単なようで、一番難しいスキルなのかもしれません。