今日から彼岸入りです。
那覇市牧志の上空には雲ひとつない青空が広がっています。
この時期になると、15年前に他界した母方の祖母を思い出すイーノスタッフの新垣です。
もう30年程前の小学生頃の記憶ですが、
お彼岸の時期に合わせて、車の免許を持っていない祖母が、
東陽バスに揺られながら20分近くかけて私の家まで来てくれました。

12:00 那覇市国場
(最高気温:20℃ 最低気温:13℃ 湿度:48% 風速:3.4m/s)
沖縄では特に春のお彼岸では、本土のようにお墓参りをすることが少ない代わりに、
「屋敷の御願(ヤシチヌウガン)」をします。
私も祖母と母の後に続き、お供え物や「ビンシー」と呼ばれる御願セットを持つお手伝いをよくしたものです。
ヒヌカン(火の神様)や仏壇、ヨンシヌカミ(家の四隅の神様)、ジョウヌカミ(門の神様)、
フールヌカミ(トイレの神様)、ナカジンヌカミ(自宅の中陣の神様)と、
それぞれの場所を回りながら、家族の健康や繁栄を祈ります。
幼い頃は、「色々な家の場所にいる神様にウートートー(手を合わせて拝む)するんだよ」と聞いてはいたものの
意味もよく分かっておらず、各場所で同じように繰り返される、おばぁのブツブツ聞き取れない方言の拝みに
だんだん飽きて「早く終わればいいのにー」と心の中で思っていました(笑)。
それよりも、しゃがんだ足の周りを飛び回るガジャン(蚊)に刺されないようにする事の方が重要でした。
おばぁちゃん、ごめんね。

15:00 那覇市牧志 (例年なら卒業旅行などで賑わう時期ですが、今は人影もまばらです。)

18:30 糸満市 沈んでいく夕日が海に映る神秘的な様子は神々しささえ感じます。
結婚し、母親となった今では、熱心に拝んでいた祖母の気持ちが少しずつ分かってきたような気がします。
子や孫の健康や幸せを願わない親はいません。
日ごろから家族が安全で健康に過ごせていることを、神々様やご先祖様へ感謝していた祖母ですが、
認知症が少しずつ進行し始めた頃からでしょうか、実家の屋敷の御願も途絶えてしまいました。
にぎやかな場所が好きで、国際通りに住みたいくらいと話していた祖母に、
「今、国際通りの真ん中で全国のお客様の健康と幸せを祈りながら働いているよー!」と伝えたい。
手を合わせて拝んでいた祖母の後ろ姿が夕日に重なり、感謝が増した一日です。
今日の詩は、「おきなわ こども詩集『でいご 第5集』 ’87」より、「夕日」をお楽しみください。
「夕日」
屋良小六年 伊佐 かおり
夕日がしずむ。
たのしかった一日を
赤くそめて
夕日がしずむ。
夕日がしずむ。
「また、あしたね。」
と言って
夕日がしずむ。
夕日がしずむ。
ぽつぽつと
家からあかりがともって
夕日がしずむ。
夕日がしずむ。
「はやく帰りなさい。」
と言って
夕日がしずむ。
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「おきなわ こども詩集『でいご 第5集』 ’87」は、e-no株式会社の前身である株式会社沖縄教育出版が、沖縄の子供たちの詩を財産として残していきたいという願いをこめて1987年に発行した詩集です。