私のお出かけ物語

「寒緋桜は、もう咲いていますか?」

1月中旬、福岡県にお住まいのお客様がご注文ついでに尋ねてきました。もうその時期だ!と一気に春気分到来。

ならば気象台が桜開花宣言をする標本木で確かめよう。でもどこにあるんだろう?調べると家からモノレールで約15分、那覇市首里にある「末吉スエヨシ公園」だ。

「思ったより近い…、今週末に行こう」

その週末の昼すぎ、外に出たら霧雨、、「どうしよう…」と迷ったが決行。

最寄りのモノレール駅から5つ目、初めての公園は緑豊かで静かな雰囲気。

思っていたより広く、はて、標本木は、どこに。

まず長い下りの階段。雨に滑らないように手すりにつかまり降りていくと

「あっ、桜の木だ!」

でもピンクの花は「1、2、3…」と数えるほど。花びらも薄ピンク。

「標本木」はどこだ?

ひと気のない公園で不安になりかけた時、ウォーキング中の年配の男性を発見!駆け寄って尋ねてみると、「来た道の川沿いの近くにあるよ」と親切に教えてくれた。でも川沿いだけではわからず、行ったり来たり…。

黄色いリボンの桜の木を見つけ、

「えっ?これが標本木の目印?!」

ポツンと一人いると、先ほどの男性がぐるっと回って戻ってきた。

「この木ですか?」

「確かにここだったかと思うけど、標識がないね…」とあやふやな答え。でも親切な対応にホッとして、坂を登る元気が出た。

やっとみつけた標本木の桜!

「生物季節観測用の標本木 沖縄気象台」の立て看板。でも、四、五輪こちらも咲き始めたばかり。その隣に、組踊の創始者玉城朝薫タマグスクチョウクンの生誕300年の立派な記念碑があった。

大きなブロンズの記念碑は、太刀と扇を大きく振りかぶる按司アジ、天女や鬼女など名場面が描かれている。

琉球王国時代、玉城朝薫タマグスクチョウクンは、中国からの使者を歓待するために歌舞劇である”組踊”をつくったという。国やユネスコの文化遺産に登録されている。

正直、一度も舞台は見たこともなく、朝薫チョウクンの歴史のことも知りませんでした。

帰ろうと駅に向かって裏道を歩いていると、小学4年生ぐらいの児童たち3人と出会った。「この道であっているかな?」「まっすぐだよ」

細いくねくね道を進むと、私の横をすり抜けて行く。

「ここが駅だよ」。裏道を抜けると駅は目の前だった。

小雨の降った肌寒い日も、おじさんと子どもたちのあったかい道案内に気持ちがほぐれた休日でした。それに沖縄の文化を知るきっかけにも。近場でも発見がいっぱい。

お出かけっていいですね!

2週間後の2月2日@末吉公園の桜の標本木はこちら↓

(せっかく満開を楽しみに訪れたのに、なぜかここだけ葉桜に…)

後日談ですが、、

2/12、県内のニュースでまさかの事実が発覚!ヒカンザクラの開花観測は1976年から始まり、満開を迎えず葉桜になるのはなんと1977年から48年ぶりの珍事だと!この標本木が満開になって初めて沖縄気象台から’満開の知らせ’が届くという。

はじめて見たヒカンザクラの標本木だったのに、満開なしの葉桜に…しかも48年ぶりなんて。

原因ははっきりわからないようですが、来年こそは満開のお知らせをお届けします…お楽しみに!

ちなみに、標本木以外の公園の桜たちはほぼ満開でした!