「なぜ、『言葉』は『言(こと)』の『葉(は)』と書くんでしょうねぇ?」
いつもニコニコしながら、突然そのようなお話をしてくださるのが渡久山章先生です。「沖縄の青さは、青と言っても一つじゃない、一色じゃない」先人が何を見て、何を思い、そして自身はどう感じているのか…古い歴史の話をきいていたかと思えば、いつの間にか新しい感覚、視点の世界に誘われている。そんな魅力にあふれる渡久山章先生と一緒に、沖縄の「豊かな」自然について魅力を再発見、新発見しお届けしていきます。
自然、人々の営み、言葉のつくりまで「自由な発想でいい」と感じる世界をお楽しみください。
こちらのページでは以下、渡久山先生が語る沖縄の海についてのお話を紹介いたします。
魚湧く海、海の畑と言われるほど生産力がとても高い沖縄の海とは
沖縄の海は大きく2つに分けられます。
1つは、久米島海洋深層水が採られている海のように、サンゴ礁の外の海、外洋です(宮古伊良部島の方言ではアラパといいます)。そこは深くて群青色や紺碧に染まった海。篠原鳳作さんが「しんしんと肺碧きまで海の旅」(鹿児島から宮古島まで船旅をした時、海を見ながら息をしていると、空気と一緒に海の碧(あお)さが入ってきて肺まで染めてしまいそう)と詠んだ海ですね。沖縄の海は大きく分けると、以上のように2つに分けられると思います。
あと1つはイノーで、陸地とサンゴ礁(リーフ)に囲まれ、浅くて造礁サンゴが育ち、砂地などもあって、エメラルドグリーンやコバルトブルーに染まる海。そこは浅いため、子供やお年寄りが入っていっても安全な海。それに村の近くにあるので、魚や海藻類を獲ったりするにも都合のいい海です。そのため、赤土などの汚染物が入ってこなければ、魚湧く海とか海の畑とか言われ、生産力がとても高い海です。沖縄の人々は昔からこのイノーによって支えられてきました。
渡久山先生とわたし
偶然にも私の父と同郷、同級生の渡久山章先生。
渡久山先生は、2023年12月までイーノ株式会社でお勤めされていました。「今日は寒いですね」(または暑いですね)のような、ちょっとした会話を、渡久山先生と父の故郷である宮古・伊良部島の言葉ではなんというのか教えていただく毎日を過ごしていました。
宮古・伊良部島の言葉を教えてもらって書き溜めた、『伊良部方言マイマニュアル』
『沖縄の豊かな自然』の記事は、私自身が渡久山先生を通して、父からも教えてもらっているような気持ちな分、きっと「素」の楽しさがあるのではと思っています。時には原体験にふれるような、懐かしさも感じていただければ幸いです。