電話担当の上原には
今でも忘れられないお客様がいます。
何度もかけても電話をとってもらえませんでしたが、
ある日突然、お客様から電話がかかってきました。
「60年余り生きてきて
初めて手書きの誕生日カードをもらいました。
今まで誰にも誕生日を覚えてもらったことはなかったから。」
それは、上原が送った誕生日カードのお礼の電話でした。
そして、
長い間、親御さんを一人で介護していること。
目の前の生活に追われていて
自分のことは後回しにしていること。
日々のことを
せきを切ったように話されました。
その一言一句を
上原も聞き逃さないよう受け止めます。
「何があっても、上原さん。
あなたの名前だけは心に残っているからね」
「話すことは、心の健康に繋がるんですね」と、上原は話します。