北の海の恵みが南の長寿の源に
結び昆布、クファジューシー(炊き込みご飯)、ソーキ汁。
どれも沖縄の食卓でよく登場する昆布を使ったメニューです。その中でも人気の昆布料理と言えば「クーブイリチー」。クーブは昆布、イリチーとは炒め煮のこと。細長く切った昆布に味付けした豚三枚肉を炒め合わせ、出汁でじっくり煮込む昆布が主役のおかずです。
沖縄では、学校給食にも登場するほど子供たちも大好き。お祝いの席の料理にも欠かせません。確かに昆布のキリッとした黒い色は、高級感漂う。お弁当に入れてもいわゆる「映える」おかずの一つです。
昆布というだけで料理の達人っぽい、下準備とか大変そう、と敬遠していましたが、「クーブイリチー」に初挑戦。長い昆布を均一に細長くきれいに切れるのか、と考えながら、いざスーパーの乾物コーナーへ。陳列された昆布の中に、なんと「刻み昆布」を発見。商品の裏面を見るとクーブイリチーレシピが書かれています。沖縄ではまさにクーブイリチーのために存在する「刻み昆布」があるのです。

近くのスーパーの昆布コーナー。お料理に合わせて様々な種類の昆布が揃っています。
そして作り方もシンプル。細長く切った三枚肉に糸こんにゃくや人参、水に戻した刻み昆布を混ぜ合わせて炒め、料理酒やみりん、だしを入れて煮る。昆布と三枚肉の旨味を十分に楽しめます。
煮しめたりソーキ汁などによく使われる結び昆布。お得意様担当、新潟出身のSさん。新潟では昆布でだしを取ったり、昆布巻きをお正月に食べるぐらいだったそう。沖縄に嫁いだばかりの頃、結び昆布を作る機会がありました。煮崩れしないよう強く結んでいると、ご主人の叔母さんから人差し指と中指を巻くようにして昆布を結ぶと程よい隙間ができ、結び目も固くならずに美味しく食べられると教えてもらったそうです。

上から時計回りに、クーブイリチー、ソーキ汁、玄米ジューシー
天然昆布の主な産地は北海道。昆布が採れない沖縄ですが、県民一人あたりの昆布消費量が全国平均上位と言われています。琉球王国時代に中国への輸出品として日本から取り入れ、それが料理に使われるようになったといわれています。
沖縄の昆布の利用方法は、中国と同様に他の材料と一緒に煮たり、炒めて食べることが中心。特に、イノシン酸を多く含む豚肉とグルタミン酸を多く含む昆布を一緒に料理すると、旨みの相乗効果で美味しさが飛躍的に増すなどの特色があります。

まるでリボンのような結び昆布は、沖縄の陶器によく似合います。
沖縄は長寿として知られていましたが、その背景には沖縄の伝統的な食生活がありました。その中でも食物繊維を多く含むなど栄養学的にも優れている昆布をたくさん食べていたからだと言われていましたが、その消費量も平成に入る頃から年々減ってきています。
11月15日は、子供達の健やかな成長を祝う「七五三」に合わせて制定された「昆布の日」。新しい昆布が市場に出回る今が旬である事と子供達に栄養豊富な昆布を食べてほしいという願いが込められています。私の昆布料理の挑戦は始まったばかりです。
この記事を書いた人:大城明可(おおしろ・さやか)
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