目を細めて視線を北側に寄せると、約2km先にある嘉数高台公園内の青い展望台が微かに見えた。その下には、沖縄戦で亡くなった地元の方々の慰霊碑とともに、2,536人もの京都出身の兵士たちが眠る「京都の塔」があるのだ。
私は未来への希望を持ち16年前京都からこの地に来た。しかし、兵士たちの気持ちは想像を絶するもの。不安だっただろう、心細かっただろう、寂しかっただろう、せめてもう一度だけでも故郷京都で家族に会いたいと願っただろう…色々想像してみたが、自分から出てくるものは彼らには届かない陳腐な感情でしかなく、ただただ自分の中に、今日、これからも見て知ったことを積み重ねていこうと思った。
浦添城跡は沖縄と京都の繋がりを教えてくれた場所となった。そして、今日は、いろんな時代の沖縄に触れた気がした。
お客様担当 井坂 歩 (いさか・あゆみ)