「ただいまー」移民の地から大集合 〜世界のウチナーンチュ大会〜

「ただいまー」移民の地から大集合

「おかえりー」 「ただいまー」とあちらこちらから聞こえる。

 

世界各地に移住したウチナーンチュ(沖縄出身者)とその子や孫たちが故郷で交流を深める「世界のウチナーンチュ大会」が10月31日〜11月3日の4日間、那覇市で開催。国際通りで前夜祭パレードが行われた。ブラジル、ハワイ、ドイツなど13カ国、26都市からの1600人を含む合計約3000人が民族衣装などを着て、国旗や横断幕を持ち約1 kmを練り歩く。沖縄に帰るのは何十年ぶりという人や初めて訪れた三世、四世もいる。沿道には海外からはるばる帰ってきた人たちを迎えようと大勢の県民がパレードが始まるのを待っている。

 

初めに、「hawaii(ハワイ)」のプラカードが見えた。シャカサインで「アロハ〜」と呼びかけウクレレを弾きながら歩く人、ムームーでフラダンスを踊る人。年代も様々でベビーカーに乗った赤ちゃんから80代くらいの方々まで。「ピ〜ピ〜」「ドドンッ、ドンッ」100m程先から、口笛や低音の太鼓、トランペットの音が響いてくる。ブラジルから来た人たちはスルドやアゴゴの楽器でサンバのリズムを奏で、大きな羽のコステイロを背中につけ、緑や黄色の衣装で踊る。

 

 

戦前の移民は広島や熊本県などと同じく貧しさからハワイやブラジルなどに渡った。戦後は米軍統治という沖縄の特別な理由により南米などに向かった人々は多い。海外へ渡ったウチナーンチュたちは、コミュニティーを作り、お互い助け合い生きてきた。ウチナーンチュという誇りを持ち、沖縄の言葉や文化、歴史を次の世代に引き渡している。20代前半で親や兄弟の反対を押し切り出稼ぎに渡った人もいたそうだ。簡単に戻ってくることはできなかった。嬉しい時、悲しい時、郷愁を募らせる時にはや唄、ウチナーグチ(沖縄の島くとぅば)で心を癒していたのかもしれない。

 

ひときわ大きな拍手が起こった。80代後半くらいの女性が杖をつき、手を振りながら嬉しそうにゆっくり歩いている。沿道の人たちの見守るような視線と拍手には敬意と敬愛の気持ちが込められていた。

 

多くの人たちが帰ってくることが不思議だった。でも、帰ってきた人たち、迎える人たちの言葉、声、笑顔、拍手、空気感でその理由がなんとなくわかった。故郷に帰れる喜びだけではない。遠い地で沖縄のコミュニティーを守ってきた一世としての誇り。沖縄のアイデンティティーを受け継いでいる二世や三世の誇り。そして何より、お互いの祖先や故郷への尊敬と感謝が「ただいま」「おかえり」という言葉に籠められていた。

 

 

この記事を書いた人

井坂歩(いさか・あゆみ)

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